会員の活動

東京同好会

俳句同好会

林 三平
黄葉初むベンチに独りエトランゼ
濡れ落葉踏まれてもなお彩失せず
先見えぬ戦火に耐える冬長し
木枯や赤提灯のやけに映え
争いの無き世は夢か小鳥来る

近藤陽明
それぞれの古里自慢新走り
山茶花や夕陽の中の特攻碑
望郷の東欧の空冬来る
受験時の本郷路地や一葉忌
雑煮食み百歳までもと友元気

谷口一郎
年用意作務衣の似合ふ漢たち
数の子やロシアの産と銘うたれ
雨戸開けまずは狭庭の初景色
竹林の奥に人影寺の暮
沈丁の香に歩をゆるめ朝の径

坂部博志
のほほんと日出ずる国年暮るる
洟たれの昔の名前で鍋囲み
半そで半パン寒なにするものぞ
松かざり迷ひ迷ひて又飾り
苦も楽もポイと流して年新た

横山 稔
秋晴れや八十路の今日を味わへり
蒼天や桜もみじの目黒川
菊咲いて五度目のワクチン済ませけり
元気なり国より届く歳暮かな
夢を追ふ枯野の旅の八十路かな

山田良男
北風に微動だにせぬ雲もあり
満足度人それぞれの年の暮
去年今年知識経験増えもせず
歩み止め冬の青空仰ぎ見る
小寒や朝日に光る太平洋

木田俊治
去年今年願い重ねて神楽鈴
達筆の師よりの文や時雨虹
鳴りひびく糺の森の啄木鳥や
自治会の消火訓練着ぶくれて
友の逝く枯野に一人そぞろ寒む

古田陽久
板東へ西国巡る冬の旅
地御前の牡蠣に舌打ち冬景色
初詣今年も四国善通寺
健康を託して啜る薺粥
六度目の卯の年迎へ初詣

野地邦雄
角打や客の持ち込む冬の風
一茶忌や遊び心を忘れまじ
話すぐ病へとんでおでん酒
魂魄をほぐしてをりぬ柚子湯かな
豆腐屋の湯気のしずかに三冬月