会員の活動

東京同好会

東京俳句同好会

林 三平
星祭逢瀬楽しむ影二つ
チョイ悪の気分に浸るサングラス
向日葵も少し疲れし日暮れ時
炎天下元気溌剌球児達
ひまわりに休耕地の蘇り

近藤陽明
影もまた踊りゐるなり阿波踊
朝顔のつひの一花や色深し
螢待つ廻りの早き昼の酒
さつと寄りついと離るる赤とんぼ
川に沿ふ白壁染むる赤カンナ

谷口一郎
片陰や青信号を待てぬひと
夏草の句碑にからまる深大寺
秋晴や客足はやき合唱祭
人里に熊出没と大見出し
コロナ禍や中止となりし盆行事

坂部博志
ポンポンと音のみ見えし昼花火
見上げれば筆ひとはけの秋の雲
念入りに蜘蛛と棲み分け枝払ふ
宿題に母の鉢巻き夏終る
かえりみて恥ずることなし秋の空

横山 稔
終戦日我三歳の引き揚げ児
敗戦忌黙して思う白髪頭
誕生日翔平と祝う十二勝
エリザベス豊かな秋に逝きにけり
この秋は句にもならないわが日本

山田良男
救急のサイレン響く終戦日
夏草の伸びる力や地の力
黄金の稲田を走るジーゼルカー
何となく我に纏わる秋のてふ
見えぬとも所在の分かる金木犀

木田俊治
二重虹英国の母旅立ちぬ
老人が赤飯届ける敬老日
夜半の秋爪切る音の響きかな
牡蠣くへば赤穂御崎の波の音
かつ丼をひとくち残す秋暑かな

古田陽久
円安に遠退く旅行秋の空
秋晴れや瀬戸の波折の輝ける
秋蝶の舞ふ姫島を訪ひにけり
終活の旅は板東秋深し
秋晴れに心浮き立つ合唱祭

野地邦雄
流星や忘却といふ優れもの
湧き出づる朝霧統ぶる富嶽かな
死者の書のヒエログリフや星月夜
添水打つ拍子に乱れなかりけり
水澄むや石組み美しき眼鑑橋