会員の活動

東京同好会

俳句同好会

林 三平
待望のワクチン接種風薫る
自粛など何処吹く風と秋茜
「休業」の貼紙褪せし夏の果て
夕闇を無気味に揺らす牛蛙
大過なくオリパラ終る秋の空

近藤陽明
過ぎし日をグラスに揺らす冷やし酒
留守番の午後のひととき小鳥来る
国際線時差調整の昼寝かな
石にある孤独の黙や涼新た
酔ふほどに郷愁つのる新走り

谷口一郎
新涼やサンダル履いてポストまで
戦争の日を語りつつ南瓜食う
漸くに辿りし店の蕎麦の味
新涼や散歩の犬の息あらく
門構え大きな家や花八つ手

坂部博志
馬面の青きバッタよ空翔けろ
筋書きもとぎれとぎれの昼寝かな
赤とんぼ群れてさながら戦闘機
山の端の虹をまたいで分け入れり
尻もちゃげ獲物愛しや蟻塚へ

横山 稔
オリパラもコロナもこなし日本は秋
秀吉もナポレオンも見たこの満月
うまい柿毎日食える日本の秋

山田良男
カレンダー一枚捲ると秋日和
閉院の角に今年も萩こぼれ
鳥すだき子供等走る秋の園
公園に静けさ戻る秋時雨
塀越しにコスモス二輪楚々と咲き

木田俊治
梅雨出水八岐大蛇大暴れ
夏めける大きな染みや藍作務衣
朝からの祝詞かき消す蝉しぐれ
会もなく語らひもなく秋に入る
梅雨に籠る久しき友の長電話

古田陽久
懐かしき友との日々や虫すだく
木の芽時故人を偲ぶ如月忌
長月の輝く母の逝きし道
極月に一人乗りたる芸備線
蘇生せし焦土化の街八月来

野地邦雄
皮剥を炙る潮の香新酒酌む
鈴虫に破調のリズムありにけり
独り居に酌むは身に入む女酒
冬瓜汁終活ノートを書き初むる
一本の曼珠沙華咲く休耕田