会員の活動

東京同好会

俳句同好会

林 三平
酒宴なき花見もありか独り言
老鶯の声に浸りて谷戸の径
民の声届かぬ政治梅雨湿り
薫風や退院しらす友の声
里のどか代田に浮かぶ白き雲

近藤陽明
朝顔市帰りに覗く縄暖簾
浴衣換へ回診を待つ西病棟
雲の峰音戸の瀬戸の潮目濃し
海峡のタンカー遅々と青葉潮
梅雨深し列島襲ふ降水帯

谷口一郎
禅寺に賛美歌ながれ桜桃忌
したたかに額打つ手や蚊を逃し
梅雨の傘さげて入りけり小画廊
外出の草靴の黴払ひけり
郭公の鳴く武蔵野の夜明けかな

坂部博志
くるくるとパラソルの群赤信号
蜥蜴の子と目線合せてにらめっこ
葉桜やあの日あの人河原町
影も見せずみどり訪なふ時鳥
おのが世は谷やま山やアマリリス

横山 稔
さるすべりひっそりと咲くあでやかさ
悠々と孤高の白鳥皇居堀
靖国の鯉もエサには群れるかな
忘れぬぞ特攻兵よこの夏も
特攻兵を偲んで鳴くや靖国の蝉

山田良男
老鶯の綱渡りなほ冴え渡り
あと十日傘寿迎える半夏雨
接種終え稍安堵する送り梅雨
水を遣り頼りにされる向日葵に
日に日にと梔子の花芳しく

木田俊治
夏来たるセーラー服の眩しくて
薫風や滝の流れにそっと乗り
小糠雨きのふの茅の輪そのままに
紫陽花の色とりどりに梅雨晴れて
いつの間にクレーン立ち去る夏の空

古田陽久
七夕の歌に憧れ 男性合唱団 がっしょうだん
定演の歌声響く夜涼かな
薫風の空に歌いぬ「風の夏」
春弥生もう青春はもどらざり(「22歳の別れ」を歌う)
梅雨湿り宗教曲の不協和音

野地邦雄
啓蟄や地軸傾ぐる水の星
鷹鳩と化し園児の脚の伸びにけり
黒猫の見え隠れして木下闇
大の字に野に寝転んで雲の峰
頬杖の居眠り崩れ山笑ふ