会員の活動

寄稿・便り

社友会50周年に思うこと

~この世は、「邂逅」と「絆」~

中條誠一(75002)

年を重ねるごとに、人との出会いと、そこでいかに良き関係を築くかということの大切さを痛感します。ですから、4年前に大学を退職する際の最終講義でも、学生たちに「いかにネット社会になっても、良き「邂逅」と「絆」を大切にして欲しい」ことを伝えました。

振り返ってみると、1973年の日商岩井との出会いほど、自分にとって鮮烈で影響の大きかったものはありません。何とかその年の3月に大学院のマスターは修了したものの、貧しい新潟の零細農家の長男であった私にドクターへ進学する経済的余裕はなし。半年以上も次の進路を見いだせず、不安に苛まれていた時に、声をかけてくれたのが日商岩井でした。

それも、当時の池田善行調査室長さんと私の恩師が友人というご縁があればこそ。同年11月に入社し、大学に転職するまでの約10年間お世話になりました。その間、採用面接でいきなり海部さんに、「わが社では、君のようなアカデミックな人間はいらないよ。」と言われて面食らったこと、さらにはたまたま同じ出版社から本を出していたことがご縁で、速水さんの講演や執筆のお手伝いをするようになったこと等々、思い出は尽きません。

しかし何といっても、一番ありがたいと思うのは人材の宝庫と言われる商社で、素晴らしい人たちと出会い、そこで育んだ良き絆が退職後も続いていることです。同期入社の面々、同じフロアであった企画本部の方々、部門を越えて知己を得た友人たちとは、飲み会やゴルフの輪ができ、気の置けないお付き合いをしてきました。その絆は、大学に転職し研究生活に入った自分にとって、何事にも代えがたい貴重な財産でした。商社マンの方から机上の空論ではない生きた経済を見聞でき、海外での研究活動へのサポートをいただけたことで、多少は「現実もわかる研究者」として、学会でも一定の評価を得ることができました。日商岩井との幸運な出会いに、感謝あるのみです。

私が恩返しできることといえば、『トレードピア』への寄稿、教え子の日商岩井への推薦くらいのものです。にもかかわらず、まだ勤続20年以上という入会資格条件があった1998年に、社友会の仲間に入れていただきました。以来、新年と夏の例会で旧交を温めたり、新たな出会いを楽しませていただいています。その社友会が、奇しくも私の入社した1973年に発足し、50周年を迎えるというのは嬉しい限りです。これからも、社友会を通じてさらに良き「邂逅」を得、「絆」を深めたいと願っています。

今は、孫娘たちに「ジイジ」と呼ばれ、大の仲良しですが、その長女の名前は「逢」、次女は「縁」。人生の終活期に、この出会いを与えてくれた天の配剤に感謝しつつ、孫娘たちと良き絆を深めることを生きがいにしています。最後まで、人生は「邂逅」と「絆」ではないでしょうか。