例会・イベント

日商岩井社友会講演会

第16回講演会

人生100年時代を支える食事と運動
~認知症・ロコモ・フレイルの予防のために~

フリーアナウンサー・講師
久田直子氏

人生100年時代を生きていくためには金融庁がいう蓄えも必要ですが、蓄えがあっても健康でなければ意味がありません。健康に生きていくためにはどうすべきか。それは皆さんにとっても最大の関心事ではないでしょうか。令和元年春の講演会はNHKの長寿番組「きょうの健康」で15年間にわたり司会進行を務められた久田直子氏をお招きして5月23日に開催しました。久田氏は健康伝道師として毎年60回以上の講演をこなしており、今回も明るく楽しい語り口で時に脳トレ体操なども交えながら、人生100年時代の健康管理について語って頂きました。以下久田氏の講演要旨です。

1.はじめに
昨今エンタテイメント的健康番組は多々ありますが、「きょうの健康」は患者の立場から丁寧な取材をもとにより正確な医療情報を提供し、1967年放映開始から50年以上続くいわば超長寿番組です。「ガッテン」もいいですが病気について知りたいことであれば「きょうの健康」も是非ご覧ください。この番組を担当しさまざまな専門家とお話し感じたことは、生活習慣が長い間積み重ねられるとその方の健康に非常に大きな影響を及ぼすということ。また人生100年時代を迎え、75歳以上の人がこれだけ増えてきた中にあって、医学界でも高齢者の健康を考える場合、食事、運動、薬などについても新たな視点が必要ではないかとの意見もあり、今日はそうしたことを中心にお話しします。

2. 介護が必要となる要因
平成28年厚労省「国民生活基礎調査」によると介護が必要となる原因のトップは認知症。 実はこの調査の前までトップは脳卒中で、今でも男性の要介護5のトップは脳卒中。脳の大きな分野で障害があると重度の介護が必要となるとても怖い病気。特に男性の場合は血管を大事にして脳卒中を防ぐことが重要。女性の場合は骨折・転倒や関節疾患により介護となるケースも多い。若いころから骨・筋肉・関節を鍛えておくことが大切です。

3. 認知症の予防
認知症は発症してもすぐ介護が必要となるわけではなくゆっくりと進行する。最初は自立した生活が送れる。現時点では進行を遅らせる薬はあるが治す薬はない。認知症のリスクとして今注目されているのは、実は生活習慣病だ。生活習慣病とは糖尿病、高血圧、脂質異常症などで、かつては血管を痛める病気として知られていたが、最近の研究では認知症のリスクを高めることが分かってきた。また糖尿病はアルツハイマー病とも深く関わっている。生活習慣病にならないことが一番だが、なった場合でもしっかり治療することが認知症のリスクを減らすことになる。ストレス・睡眠不足も認知症のリスクを高めると言われるが、歳とともに睡眠が浅くなるのは自然のことで気にしないほうがいい。歯周病により噛む力が衰えたり、視力聴力の衰えで見たり聞いたりする機会が減ると脳への刺激が減り認知症になりやすくなる。認知症予防につながる食事としてGHA(青魚)、イソフラボン(大豆)などが良いと言われるが、無理してとるのではなく自然な形で摂取するのがよい。脳を動かすという点では知的生活とコミュニケーションも重要。知的生活とは知的好奇心を満たす読書、観劇、旅行など興味あることに前向きにとりくむ。女性の得意とするところだが人とのコミュニケーションにおいても脳が活発に動く。また最近では有酸素運動やデュアルタスク(二つのことを同時に行う)も認知症予防に有効だと立証されている。デュアルタスクは最初のうちは難しいかもしれないが慣れると簡単。出来ないからといっても認知症ではない。

4. ロコモ・フレイル予防
ロコモティブシンドロームとは骨・筋肉・関節の障害のため移動機能が低下した状態。加齢により骨密度が低下、骨粗しょう症、変形性関節炎などが原因で女性に多い。骨には上から下への刺激がよいとされ、ロコトレとして片脚立ちやスクワットが有効である。フレイルとは加齢により虚弱になった状態をいう。さらに身体機能が低下すると要介護や寝たきりとなるが、鍛えることで健康状態に戻ることもある。フレイルに陥らないためには栄養(食・口腔機能)、身体活動(運動・社会運動)、社会参加(就労・余暇・ボランティア)が大切。食においてはたんぱく質とビタミンD。日光を浴びることもビタミンDの合成に必要だ。口腔機能の衰えは食べることのみならず誤嚥の原因や反射にも関係する。意識的に口を動かし人と話すことで口腔機能低下を防ぐ。社会参加機会の減少がフレイルに繋がるという専門家もいる。働けるうちは働きましょう。

5. アクティブな生活を心がけよう
現在男性の平均寿命が80歳を超えてきている。80歳を超えた人は90歳、100歳まで生きる可能性が大いにある。100歳まで自分の体を使って生きる上で大切なことは意欲や好奇心。こうした集まりに参加するのもよし、孫の世話もよし、家にひきこもってる暇はありません。外に出て身体を動かし社会との関わりを持ちましょう。皆さんは人生100年時代のフロンティアです。若い世代に100歳まで生き生きしている姿を見せつけましょう。

(まとめ 山田朝一郎)