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世の変遷で捉える日本国の役割Ⅱ 環境問題

千葉武志(58055)

~お読みいただく方へ~

少し前までは殆ど注目されることがなかった「環境」が、毎日の紙上を賑わしています。以前からアメリカのアル・ゴア元副大統領が地球の危機を訴えるなど、重要性が唱えられていましたが、漸くその緊急性が認識され始めたのが2020年です。今般、『世の変遷で捉える日本国の役割II,環境問題』の発刊に至りましたのは、前作で深く掘り下げることが字数制限で叶わず、また本問題抜きで論点を完結出来ないためであります。環境問題と、「問題」を付けたのは、環境が及ぼす事象に注力する為で、「環境とは」ではなく、その影響のあまりのすさまじさを明快にしたいとの考えであります。

有名人でなく、専門家でもなく、作家でもなく、文章に長けているわけでもない者が、愚直に本テーマの書を著したのは、広角に捉える重要性に尽きますが、専門書では捉えきれない内容の訴えの為でもあります。

フィナンシャルタイムスのビジネスコラムニスト、ピリタ・クラーク氏は連日賑わしている環境に対する企業対応の一面を紹介しています。気候変動の自社への影響を把握している取締役はわずか7%、ニューヨーク大が米大手100社の取締役1188人を調査した結果として、環境関連の知見を備えた人は6%、温暖化削減の企業方針と実際の行動に開きがある事、目標は素晴らしいが達成計画に欠ける点などを指摘し、環境問題の知見を欠いた取締役会は立ち行かなくなると説いています。企業の知見と目標達成具体化の必要性の強調です。

本書では環境や問題点の概念・推移、法体系などを明確にしたうえで、「環境問題の及ぼす影響」に注力致しました。経済成長との相関、世界的なうねり、脱炭素と代替エネルギーの具体的方策と企業の取り組み、廃棄物処理の必要性と困難さ、自然災害からの防衛、社会生活様式の変化、政治と国際問題化への影響、人びとの意識やマインドの変貌、全てに影響する技術進化の問題点、などを取り上げました。

今一つの特徴は、多くの企業が取り組む環境問題への真摯な態度をつぶさに述べた点です。金融業、製造業、サービス業などの企業努力が如何なるものかを例示しました。金融業の役割として環境問題で生じる社会コストと言う目に見えないコスト処理や、環境貢献を見える化する経理処理を挙げました。発電所の電源構成変化への対応と発送電分離の実態や再生エネ優先の送電の必要性、一般廃棄物・産廃・放射性廃棄物が進展しない問題点、プラスティックゴミ処理の進展、新素材開発と国土強靭化、水素生産、CO2資源化、CO2排出削減、等に対する企業の真摯且つ積極的対応には勇気づけられるものがあります。
*千代田化工と豪大学が水素を別の化学物質に変換、運びやすい形にする技術実用化発表
*技術全体構想で日本が世界をリードできると説く国際経済研究所と九州大学の提唱
*三菱商事や三井物産の環境問題解決とビジネス双方を成就させるプロジェクト発表は総合商社の「総合」をいかんなく発揮するものであり、環境問題とビジネスの融合例であること、を挙げましたが何れも極めて心強い日本の力です。

多くの大企業が環境ヴィジョンや方針として掲げているケースが存在しますが、中小企業や研究所も夫々のレベルでの貢献を志す実態も明らかになり、日本全体の大きなうねりを感じさせる内容を例示しました。大手金融グループのケースでは、環境組織新設・環境重点ファイナンス・新たな営業活動と顧客指導・自社新商品開発(ファンド)の四項目公表内容、
個人企業では、アルゼンチンの風力測定に参加し、発電・水素生産への将来性への国際協力を推し進めるさま、そして大学や研究所が取り組んでいる開発案件の10例、であり、他にも多くの国内案件が存在する事を示唆する事例であります。現在大企業の対応が目立ちますが、99.7%の数を占める日本の中小企業各社が小さな環境取り組みを実施するだけで、全体として大きな影響力となり、日本の環境問題取り組みに大きく貢献することでしょう。

締めくくりの最終章では、日米欧が2050年にカーボンニュートラル達成を宣言しましたが、その時日本はどんな国に変わっているかを描写しました。現在の日本は、あの戦後の総力を挙げた復興力がまるで見えない力不足を感じさせます。政治の緩みを立て直し、総力集中での実力発揮の時機到来に思えます。列強に対して、モノ言える実力を備えるには、多くの可能性を現実にする試行錯誤の積み重ねを繰り返し、忍耐強く続ける必要がありますが、なおかつ一歩前進に届かない難しさがある世の中です。それでも、諦めることなく,努力を維持し、政治と行政の健全化を得て、凛として、2050年の高潔な日本を描き、次の半世紀に繋いでほしい願望を述べました。環境問題は地球が存続する条件設定であり、これに日本が貢献できるトップランナーの位置にあります。今の日本人全てが渇望する姿であると信じ、日本国への遺言とさせていただきます。共感頂ければ幸いです。
(ご連絡先 : t.chiba@jcom.home.ne.jp)

{本文訂正:P126文中COP(Conference of Protocol)は正しくは(Conference of Parties)}

2021年4月吉日

環境問題を多角的に捉える本書を、その重要性から、本来皆様に進呈いたしたいところでありますが、年金生活者の財布の都合上、それが叶わず、又押し付けではなくご興味頂く方にお読み頂く趣旨で、ご購読をお願いする次第です。
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